第2回古民家ウォッチングを行いました! 

荻窪駅南側の大田黒公園から荻外荘、角川庭園周辺を回る

 

第2回古民家ウォッチング(2019年6月22日)で寄せられた感想コメント(投稿順)です。


【南さんからのコメント】

先日のウォッチングで感じたことは以下の点です。

〇太田黒邸は、日本庭園のプロである伊藤邦衛氏に再生計画を依頼し、和洋折衷の美しい近代庭園を再生させた点が高く評価されると思います。それによって邸宅内からの風景や邸宅自体の趣が著しく向上していると感じられました。ここでプロ人材の活用に資金投下をいとわなかった杉並区役所を高く評価します。武蔵野市は財政力指数が高いわりに、このような専門人材の有効活用や知恵に対する資金投下についてはどうもしみったれていますよね。

〇一方で角川邸については、庭園の管理が少々素人風でそのためか邸宅自体の質感が今一つ高まっていないな、と感じられました。建物と庭園は一体のもので相互に空間イメージを向上させており、どちらかが劣化すると両者のイメージが低下するようです。近衛邸の再生がどのように進められるかが見ものです。

〇主題である古民家の再生については、あのような第一種住専地域内で収益施設を運営するのはなんとも難しいなと感じました。小金井公園の高橋是清邸のような喫茶室を整備しても、立地条件からして十分な収益があげられるの否かはについてははなはだ疑問です。とはいえ単なる文化財的な展示では誘客力は低いままでしょうし、限定的な集会や音楽イベント、茶室利用などのコミュニティ利用でも維持管理費は大幅な持ち出しですよね。以前、谷根千のウォッチングで見学した駒井家住宅も、保有・管理する日本ナショナルトラストは常に会員に寄付やボランティアを募っているし、名家の保存活用は難しいですね。近衛邸、太田黒邸、角川邸の3つを組み合わせると、乗効果で観光資源化の可能性はあるかもしれませんが。

今回は見ごたえのある名家が見学出来て非常に興味深い体験でしたが、次回は名家ではない普通の再生例も見学したいですね。


【内門さんからのコメント】

大田黒邸は元々の大田黒邸は公園の1/3なのに、全体が入口の銀杏並木を始め洗練されているのが不思議でしたが、南さんの説明で納得しました。

大田黒邸も角川邸も訪問客が少ない割には、庭も含めて手入れが行き届いている感心しました。

この時期は有名なところでも夏草が茂ったままのところが結構ありますので。

/内門


【篠原さんからのコメント】

各邸宅とお庭はみなさんのご意見通り一見の価値があり楽しかったのですが、古民家の活用というよりは、豪邸の活用に近い印象だったので、ウォッチングを終えてからの村井さんの工房が、古民家とは言えなくても、村井さんには失礼かもしれませんが、プロのアトリエや教室にするという、伝統的な住宅の活用事例のひとつを見学したような満足感がありました。

みんなでお昼を食べながらお話を聞いたのもお腹と頭の欲求を満たす上で、よい企画だったと思います。

山田さん、村井さんありがとうございました。


【内山さんからのコメント】

先日は、古民家ウォッチングのご案内、ありがとうございました。

私も、木造で半世紀の昭和の建物である村井さんの実家に興味シンシンでした。
特に、和室の欄間が懐かしく、印象的でした。
それと、アパートを併設している「西郊ロッヂング」…中も見たかったです。
(横書きなのに、右から読みで、それも「ヂ」ですよ!)

以下は、余談です。

…ちょっと用事があってまた荻窪に行ったので、あのグロリア スーパー5という車を観ていたら、現在の経営者(?)の妻という方が自転車で帰っていらして、不審者のような私に優しくお話してくれました。
なんでも、先代(つまり彼女の義父)は、当時数少ない往診する獣医さんでもあり、ロッヂングを経営していた頃に、宿をご贔屓にしていたプリンスの社長さんから、新車が出るたびに買ってた?くれてた?そうです。

1964年の東京オリンピックの頃、あの車が出たそうで、当時学生だった現経営者も、時折、大学に(写真部だったので機材がいろいろあった)乗ってきたことがあった…そうです。
(ここで、お二人が同じ大学で出会ったことがわかる!)

ず~っと、大切にされていて、今でも、ロッヂングが休みの時に、走らせているそうです。
年末年始以外は営業されているんですと、今度ぜひ泊まってみたい!

古民家ウォッチングに、まったく関係ない話でした~すみません、チャンチャン♪

内山


【中村さんからのコメント】

古民家ウォッチング、大変に勉強になりました。私は、旧近衛邸の存在を知らなかったので、新しい発見でした。「呼び水」を教えていただけたのも、貴重な収穫でした。
さて、私が、太田黒公園を訪れたのは、2014年5月。もう5年も前になります。変わらない美しさで、あのような庭園を持っている荻窪がうらやましい限りです。
私は、日本庭園を訪れると、データベースに入力し、記録しているのですが、ご参考までに、5年前のデータベースの記載内容を転記します。

———————————————–
音楽家大田黒元雄の旧屋敷庭園。伊藤邦衛は、皇居北の丸公園池も造園している。武蔵野の窪地の湧水を活用した遣水とそれにそった石組と植栽は、武蔵野の原風景を彷彿とさせ、芝生広場はそれと対をなすように明るく開放的。旧個人宅とは思えない広さと質の高い庭園である。
————————————————

中村郁博


【中島さんからのコメント】

荻外荘が荻窪に残っていることは聞いていましたが、実際に行ったのは初めてです。
戦犯として出頭命令がでていた1945年12月16日未明に自死した、歴史に残る寝室を、外からにせよ見ることができてよかったです。
「近衛の登場に期待していたけれども、その後は・・・・・」という方の話を昔聞いてから、1度は行ってみたいところでした。

太田黒公園は久しぶりでしたが、一層みどりが深く、きれいになっていました。

おかげさまで有意義な1日となりました。

中 島 敏


【村井さんからのコメント】

皆さんのウォッチングの感想、とても面白く拝読しました。
西郊ロッヂングの道をさらに進むと中央図書館があります。
その辺りは、職業軍人が多く住む中将通りと言われ、まだ大きな古民家残っていることがネットでわかりました。
中央図書館をつくったとき、お屋敷の後の樹木を残すよう区民から要望があり、建物際にかなり大木が残されているようです。吉祥寺図書館を建てるとき市民がこの木の残し方を視察に行ったと聞いています。
図書館といえば、この地区に石井桃子さんの自邸があり、私設文庫として公開していました。時間があれば、そちらも見ていただきたかったところです。
今回のウォッチングは、建物と庭の様々な関係が見られたと思います。

角川邸は、庭園としては物足りないかもしれませんが、角川さんの趣味を継承している庭であると感じました。
大田黒公園は、庭園としては見ごたえがありますが、大田黒さんの暮らした庭とは違います。
最近文化財庭園の仕事に関わることがありますが、公共財になった時点で、庭について誰も責任を取らなくなるため、建物とのつながりや、樹木の生長をどう考えるかなどの課題が多くあります。

感想ではなくボヤキになってしまいましたが、建物と庭については、また皆さんと意見交換できればと思います。
山田さん、とても有益なウォッチングを企画していただきありがとうございました。


【山本さんからのコメント】

先週は、お忙しいところありがとうございました。
昼ごはんはご一緒できずすみませんでした。
行ったところは、よく手入れされ、ふらりと立ち寄ることもでき、心が休まる思いでした。

門から家までのアプローチ・広い池・庭の見える居室・紙でできた障子・狭くなった通り道などどれも興味深かったです。
武蔵野市にも古い家はありますがみんながその風情を楽しむことができるようにしたいのもだと思いました。

今後とも、よろしくお願いいたします。

山本ひとみ


【梅川さんからのコメント】

今回、初めて古民家ウォッチングに参加させていただきました。

企画をしていただきました山田さん、村井さん、そして、皆さんに感謝です。

今回の古民家ウオッチングで、私が興味を持ったのは、荻外荘の一部を豊島区から再移築して復元する計画です。私は区画整理の仕事で、稀に所有者から補償の対象になる家を壊さずに曳家にして欲しいとの要望やこの大黒柱を使って再築をしたいとの要望を受けることがあります。区画整理の補償費で古い家を取り壊して新しい家を建てられるからいいねではなく、そこに住んでいた方が過ごした家族との時間、思い出等、いろいろな想いがあることに、改めて気づかされれることがあります。

近衛文麿の思い入れがあるこの荻外荘が、後世に大切に残していこうという関係者の想いと再移築の技術により、再び一体的に復元されることが楽しみです。

今回の古民家ウォッチングを通して、私の街歩きの視点が広がりました。

皆さん、貴重な経験をありがとうございました。

 


【塩沢さんからのコメント】

最後村井アトリエでのんびり語らいましたが、旧角川邸など見学先の古民家で日常的に、そのような利用ができるとステキだと思いました。

ありがとうございました。

塩澤


【竹山さんからのコメント】

山田さん!

先日は、有難うございました。角川邸では柱を抜いて雨戸が締まりにくい、など、同じことをしていて、おかしかった。
我が家も縁側と座敷の柱を抜くと2階が下がる、と言われ鉄骨を入れました。
村井さんのお宅の漆工房が面白かった。姑の櫛と笄があるので今度、お目にかけます。

竹山悠紀子


【田中さんからのコメント】

太田黒公園、荻外荘、角川庭園と、荻窪地域の古民家跡の公園をゆったりと巡ることができました。
都市化の進んだ杉並区でも、このように古民家を公園化していくことで緑の環境を保全していくことは貴重だと感じます。
小さな緑のスポットをつなげてネットワーク化することで、少しでも生き物の生息空間が豊かになると思います。
公道などに細くてもよいので緑のベルト(街路樹を含む)を通し、民家には生垣を含む接道緑化を奨励し、都市でも可能となる生態系ネットワークが形成できればと考えます。

写真:太田黒公園のネジバナ

(田中雅文)


【あとがき】 古民家ウォッチング 企画担当 山田 朗

 

建築の設計を40年以上行ってくると若い時はモダンデザインに憧れ尖がった設計をしてきましたが、欧米に勉強に行くにつれ泊るなら古いホテルが落ち着くしその土地の風土が感じられていつしか彼方此方の古いホテルに泊まるようになった。
自分の設計スタイルも古いものを取り入れて和と融合するようなデザインに変化してきた。
その中で日本の伝統工法によって造られた古民家に興味が湧き触れるにつれ、日本の文化の発信拠点としての古民家が世界に「KOMINKA」として紹介され、海外から多くの方が興味を持って訪れて来ている。
日本は地震台風など自然災害が多く、又高温多湿の自然環境の中で基本朽ちて行く建築にならざるを得ない。多分古代から厳しい環境から生まれた日本の精神性として「新しいものに価値がある的な文化」新築や新品、新年といった新しく生まれ変わる事への憧れがある。今世界と繋がって彼らの持っている文化、新築よりリフォーム、新品よりビンテージ品と言った古いものを残す価値観を日本の遺産をどの様に未来に繋げるかを考えたくてその第一歩として古民家ウォッチングを企画している。

今後も皆様の幅広い意見を期待しています。

参考資料(PDF):
古民家の再生・活用について
太田黒公園地区計画
西郊ロッヂング
幻戯山房&萩外荘(てきがいそう)
荻窪南マップ
荻窪南あるくマップ
太田黒公園、角川庭園パンフ